小鳥のカンタ刺繍

私がこの布に出会ったのはインド・西ベンガル州シャンティニケタン。
ラビンドラナート・タゴールが作ったビッショバロティ大学のある緑溢れる平和の園です。
毎週土曜日に開かれる青空マーケットで、この土地の先住民族であるサンタルの女性が作ったものを売ってもらいました。ベンガル地方の野蚕によるタッサーシルクの生地に、ベンガルの特有の技術、カンタ刺繍を施してあります。
カンタ刺繍は祈りの布です。元々は娘の嫁入り道具として、祭事や大事なお客様をもてなす布として、家族の安泰を願いながら女性たちが家事の合間をぬって、一針一針創意工夫を凝らして作り上げられた布です。
昔は古布を重ね合わせ、着古したサリーをほどいて糸にして、作られていたそう。
なにふとつ無駄にせず、作り手によって様々な個性が溢れる最高に豊かな布です。
この布は青空マーケットで販売し、生計の足しにするために作られたものですが、刺繍を施したサンタルの女性の、木々を飛び交う小鳥たちの楽しげなお喋りを耳にしながら、もしかすると小鳥たちの空を羽ばたく自由さへのちょっとした憧れもあって作り上げたのであろう気持ちを、家族を想う気持ちを、とてもいとしく思います。
長い間大好きすぎてもったいなくてただただもっているだけだったのですが
いろんなひとのところへ旅立ったほうがいいなと小さなコースターにしました。
ずいぶんたくさんこさえたのですが小鳥の愛らしさをみなに好きになってもらえてすぐに完売になりました。
またシャンティニケタンへ行きたいな。

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